インプラントは虫歯にならないのか?維持するのに必要なケアとは?
2024.04.07
虫歯や歯周病のために歯を失った場合、インプラントという人工の歯根を設置し、その上に人工歯冠を取り付ける方法があります。この治療法は失われた歯を置き換えるための効果的な手段ですが、インプラントした歯が虫歯になる可能性があるかどうかは一つの疑問です。
今回はインプラント治療において埋め込んだ歯が虫歯になることはあるのか、そしてその維持のためにどのようなケアが必要になるのかについてご説明します。
■インプラントは虫歯にならない?
インプラント治療は高額なものですが、自然な噛み心地を実現できるため、多くの人がそのコストに見合う価値があると感じています。インプラントで置き換えた歯は虫歯になるリスクがないため、この点も大きなメリットです。
インプラントについて
インプラント治療では、失われた歯の部位に人工の歯根を挿入し、その上に人工の歯冠を設置します。これは義歯やブリッジとは異なり、埋め込んだ歯根が骨と結合することを利用した方法です。
他の代替方法では、残存する歯への負担や人工的な見た目が欠点となることがあります。しかし、インプラントは見た目の自然さと機能性の向上が大きな利点です。これにより、義歯と比較しても外見上の違和感が少ないため、メリットは多いです。
インプラントは虫歯にはならない
インプラントによる治療で用いられる人工の歯冠は虫歯になる心配がありません。虫歯は、歯のエナメル質が溶け始めることから発生し、歯に付着した糖質を虫歯菌が分解して酸を生成することで進行します。進行すると象牙質にも影響が及び、冷たいものを摂取した際の痛みや染みが発生します。
さらに虫歯が進行すると歯髄腔まで達し、歯髄炎を引き起こして激しい痛みが伴います。しかし、インプラントの場合は、人工の材料で作られているため酸による象牙質の溶解は起こりません。そのため、インプラントが虫歯になることはありません。
インプラント周囲炎のリスク
インプラントを受けた後、不適切な生活習慣が原因で発生することがあるのがインプラント周囲炎です。天然歯で見られる歯周病と同様に、プラークの蓄積が炎症を引き起こし、歯肉の炎症が進行すると歯肉ポケットが拡大します。これが進むと、歯槽骨や顎骨の吸収が促進され、最悪の場合インプラントが失われる可能性があります。
インプラントでは金属部分が骨に結合しますが、天然の歯では歯肉組織が歯を包み込む形で保護しています。このため、天然の歯には歯根膜という自然のバリアが存在しますが、インプラントにはそれがないため、周囲炎への注意が必要です。
インプラント周囲炎は歯周病よりも迅速に進行することがあり、適切なケアの有無が重要です。この症状は、主に適切なオーラルケアを怠ることによって引き起こされます。
インプラントは一生ではない
周囲炎の発生を防ぎ、インプラントの寿命を延ばすためには、適切なケアが必要です。インプラントは主にチタン製で、その耐久性により天然の歯よりも長持ちする可能性があります。
ただし、インプラントの持続性には定期的なメンテナンスが欠かせません。適切な管理を行うことで、インプラントはより長く機能します。実際、10年後のインプラントの生存率が95%に達するというデータがあり、適切なメンテナンスによって20年以上使い続けている人もいます。
車の定期的なメンテナンスが必要なのと同様に、インプラントもしっかりとした手入れを行うことが重要です。これにより、インプラントを通じて得られた自然に近い歯を長期にわたって維持することが可能です。
■インプラントの正しいケア方法
インプラントの手術後、歯茎が完全に治癒するまで約2週間要します。この期間、特に注意深く歯磨きを行い、歯肉とインプラント部分を丁寧にケアすることが大切です。
適切な歯ブラシの選び方
手術後の最初の2週間は、特に柔らかい毛のインプラント専用歯ブラシを使用しましょう。通常の歯ブラシよりも優しいため、痛みを感じやすい歯茎を傷つけることがなく、安心です。痛みを避けて歯磨きを怠ることは、健康な歯に悪影響を与えるため、専用の歯ブラシで慎重に磨きましょう。
歯磨きの方法
歯ブラシは鉛筆を持つような軽い感覚で握り、過剰な力が歯茎に加わらないようにします。この方法で、歯茎への不必要な圧力を防ぎながら、汚れを優しく除去できます。
手術直後の歯茎はまだ敏感なため、通常よりも力を入れずに磨くことが重要です。軽いタッチで丁寧に歯を磨くことを心がけてください。
うがいの注意点
手術後は強くうがいをすることも避けるべきです。うがい薬が提供されている場合は、それを使用して穏やかにうがいを行います。また、刺激的な食べ物は避けて、回復中の口内を保護しましょう。